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プロフェッショナルが解説するウェットブラスト|接着・密着vol.1

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プロフェッショナルが解説するウェットブラスト|接着・密着vol.1

今回より数回に分けて、ウェットブラストによる接着・密着を解説します。
第一回目は、その接着・密着の前処理として非常に重要な、「ウェットブラストによる洗浄」について解説します。

ウェットブラストによる洗浄

ウェットブラストは、液体(水)と固体粒子(研磨材)を混合した「スラリー」を、圧縮した空気で加速させて対象物めがけて投射する技術です。

ウェットブラストによる洗浄は、化学的洗浄(薬品や洗浄剤)の対極にある、物理洗浄に位置づけられます。
その特長は、かなり重度な洗浄から精密洗浄にまで渡り、その洗浄力を対象物や目的に合わせて自由、かつ精密にコントロールできます。
また、環境問題において薬品を使わないことや、作業環境においても除去された汚れや研磨材などの飛散防止などがおこなえます。


ウェットブラスト洗浄の原理とは、粒子と水が高速で対象物に衝突するエネルギーを利用して、汚れや異物を表面から取り除くというものです。
洗浄の目的に合わせて、粒子の大きさや材質、形状を選択することで、表面のソフトな洗浄から、汚れを完全に削り取る様なハードな洗浄まで対応することができます。


ウェットブラスト洗浄の重要なポイントは、汚れや異物だけではなく、対象物の表面にも粒子が衝突し、何らかの変化(打痕、梨地、応力残留など)を残すことです。
目的に合った粒子選定や、加工力制御を行うことで、その表面の変化量(粗さや加工量)をナノレベルに抑えることも可能です。


現代のものづくりにおいて、製造プロセスは複雑化・精密化しており、汚れや異物などの付着物が多くなっており、さらに固着し取れにくいものになってきています。
各種の酸化膜や微小な異物を取り除く要望も多くなってきています。
ウェットブラスト洗浄は、この精密に表面を削るレベルの、汚れ・異物除去を得意としています。


洗浄では、表面に固着した物質を洗浄した後、この汚れや異物をどの様に除去するか、また、どうやって再付着を防止するかも課題となります。


まずは、洗浄後の汚れや異物の除去について解説します。

高速で噴射され、表面に衝突した粒子と水は、物体表面(対象物の表面上)を高速で横に走ります。
粒子により剥離された汚れや異物は、水によって浮かされ、この高速横水流に乗って確実に移動し、除去されます。
油樹脂類などの粘性物も、大量の粒子衝突によって小さく分断され、同じく水により流されます。


次に、再付着問題についてです。

取り除かれた物質や油脂は非常に微粒子化され、その外側を水膜が囲い込むことで汚れの再付着が起こりにくくなります。そして、対象物表面から汚れが取り除かれ、微妙な削り込みが完了した直後、表面は周囲にある水により均一に覆われます。

ウェットブラストではこのように、固着した汚れの剥離、微小化、浮かしなどが同時に進行します。
その後、すみやかに工業用水、純水など、仕上げレベルに合ったリンスを実行することで、表面に残留している汚れは簡単に取り除かれ、目的の洗浄効果を実現します。


具体的な用途としては、微細粒子や専用プラスチック粒子を用いて、精密洗浄の代表である「セラミック基板」「プリント配線板」「ガラス基板」「樹脂や金属フィルムなどの電子材料」などへの利用が実現されています。
また、ステンレス系の粒子を用いて削る能力を向上させることで、「金属表面の酸化スケールや塗装膜などの除去」といった目的においても、ウェットブラストは多くの実績を有します。


洗浄に関しては、関連のウェットブラスト入門「接着前処理としての洗浄」の記事もご覧下さい。
https://www.macoho.co.jp/wetblast/seminar/5-2.html
 

その他の技術資料

さらに詳しくウェットブラスト技術について知りたい方には、「資料ダウンロードページ」がおすすめです。当技術に関する様々な資料をご覧いただけます。

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著者:営業部/営業技術課/佐田

技術や基礎知識に関するお問い合わせへのご回答、トライアル受付などのインサイドセールスを担当しております。
ウェットブラストに長年携わった経験を活かし、当技術の専門家としてお客様の多様な課題に対応させていただきます。ぜひ、お気軽にご相談ください。