ウェットブラスト投射材の選定パラメータ - 投射材② 粒径・硬度・比重・形状で加工結果は決まる -

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前回の「投射材コラム① - 投射材の種類と用途」では、ウェットブラストで使用されるさまざまな投射材の種類と、それぞれの用途・特長についてご紹介しました。
では、実際に投射材を選ぶ際には、どのような点に注目すればよいのでしょうか。

投射材は、粒径や硬度、比重、形状などの違いによって、加工力や仕上がり、被加工物への作用の仕方が変わります。
今回は、ウェットブラストの加工結果を左右する「粒径・硬度・比重・形状」の4つの要素に注目し、投射材の選定について解説していきます。




1.はじめに

ウェットブラストでは、投射材を被加工物に高速で衝突させることで、表面の除去や粗化、バリ取り、ピーニングなど、さまざまな加工を行います。
このとき、加工結果を左右するのが、投射材が持つ「加工エネルギー」です。
基本的な考え方として、投射材1粒が持つ運動エネルギーは、以下の式で表すことができます。
加工エネルギーの式
E = ½ × m × v² × N
m
投射材1粒あたりの質量
v
投射材の衝突速度
N
投射材の衝突数

つまり、投射材の質量(m)、衝突速度(v)、そして衝突数(N)が、加工エネルギーに関係します。
では、投射材の質量や作用の仕方は、どのような特性によって変わるのでしょうか。

そこで重要になるのが、「粒径・硬度・比重・形状」の4つのパラメータです。
ここからは、それぞれの特性が加工結果にどのような影響を与えるのか、投射材選定の基本的な考え方とともに解説します。

ではまず最初に、粒径から見ていきましょう。

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2.粒径(サイズ)- 加工力と精度を決める最重要因子

投射材の粒径は、加工力だけでなく、仕上がりの精度や均一性にも関係します。

 

基本特性

投射材の粒径は、1粒あたりの質量に大きく関係します。
球形に近い粒子を例にすると、粒径が大きくなるほど体積も大きくなり、同じ材料であれば、その分だけ1粒あたりの質量も大きくなります。

粒径が2倍になると……
 
粒径
×2
→
 
体積
×8
同じ材料であれば、体積が8倍になると1粒あたりの質量も約8倍(「粒径の3乗」に比例)になります。
 
つまり
 

同じ速度で衝突するなら、 1粒あたりの質量が大きいほど、衝突時のエネルギーも大きくなります。

 

選定の考え方

大粒径
強い加工力を得たい場合
+ 加工力が大きい
+ 比較的大きな付着物やバリなどの除去に向く
+ 表面への影響が大きくなりやすい
VS
小粒径
繊細な加工をしたい場合
+ 微細な部分まで入り込みやすい
+ 比較的低ダメージな加工がしやすい
+ 均一で繊細な仕上がりを狙いやすい
 
POINT

ただし、粒径だけで加工力や仕上がりが決まるわけではありません。
投射材の硬度・比重・形状や、投射速度などの条件 を合わせて考えることが重要です。

粒径によって加工力や仕上がりが変わることが分かりました。
では、次に重要となる「硬度」について見ていきましょう。



3.硬度 - 削れるかどうかの分岐点

投射材の硬度は、被加工物への加工力を考えるうえで重要な要素です。

 

基本原則

一般的に、 被加工物より硬い投射材ほど、切削・除去作用を得やすくなります。

一方で、硬ければ硬いほど良いというわけではありません。
必要な加工力や被加工物の材質に合わせて、適切な硬度を選ぶことが重要です。

 

選定の考え方

高硬度
強い加工力が必要な場合
● アルミナ
● SiC(炭化ケイ素)
→ 研削、粗化、強力な除去などに適します。
VS
比較的低硬度
低ダメージな加工をしたい場合
● 樹脂系投射材
● 天然材系投射材
→ バリ除去、塗膜や付着物の剥離、低ダメージ処理などに使用されます。
 

注意点

被加工物に対して投射材が硬すぎる場合、 必要以上の加工や表面ダメージにつながる可能性があります。

「より硬い投射材を選ぶ」のではなく、 必要な加工力に合わせて硬度を選ぶこと がポイントです。


硬度が「削れるかどうか」に関係する一方で、投射材の重さも衝突エネルギーを左右する重要な要素です。
次のセクションでは、その指標となる「比重」について見ていきます。



4.比重 - 見落とされがちな衝突エネルギー

投射材の比重は、被加工物への衝突エネルギーを考えるうえで重要な要素です。

 

基本特性

同じ粒径・同じ速度で比較した場合、 比重が高い投射材ほど1粒あたりの質量が大きくなります。

同じ粒径・同じ速度なら……
比重
高い
→
1粒あたりの質量
大きい
→
衝突エネルギー
大きい

加工エネルギーは質量に比例するため、 比重が高いほど、1粒あたりの衝突エネルギーも大きくなります。

代表的な投射材の比重
低比重
樹脂系
約1.3~1.5
中比重
ガラス系
約2.5
高比重
金属系
約7~8

※数値は材料や製品によって異なります。


 

選定の考え方

高比重
強い加工力が必要な場合
 
🔵 強力な除去
🔵 デスケール
🔵 加工力が必要な用途
VS
低比重
低ダメージな加工をしたい場合
 
🔵 低ダメージ処理
🔵 精密部品への加工
🔵 繊細な加工が必要な用途
 
POINT

同じ粒径・速度であっても、投射材の比重が変われば 衝突時のエネルギーも変わります。
必要な加工力に応じて、比重も選定のポイントになります。

比重によって衝突時のエネルギーが変わる一方、投射材の形状によっても、被加工物への作用は大きく変わります。
次のセクションでは、投射材の「形状」が加工結果に与える影響について見ていきます。



5.形状 -「削る」のか「叩く」のかを決める

投射材の形状は、被加工物への作用の仕方に大きく影響します。

 

基本特性

投射材の形状は、被加工物への作用の仕方を左右する重要な要素です。
角のある粒子は「削る」作用、 球形に近い粒子は「叩く」作用が生じやすく、 同じ投射材でも形状によって加工メカニズムが変わります。

 

形状による違い

多角形(エッジあり)
代表例
アルミナ、SiCなど

角のある粒子が表面に衝突することで、 切削・破砕に近い作用 が生じやすくなります。

● 表面粗化
● 付着物の除去
● 強力な加工
VS
球形・亜球形
代表例
ガラスビーズ、ジルコニアなど

球形状の粒子は、衝突による 塑性変形やピーニング作用 を利用する加工に適しています。

● 美装
● 光沢・均一な表面仕上げ
● ピーニング


POINT

「削る」のか「叩く」のか。 目的とする加工に合わせて、投射材の形状を選ぶこと が重要です。

MORE INFORMATION

実際の投射材について詳しく見る

ウェットブラストで使用される投射材には、さまざまな種類があります。
それぞれの投射材の特長や用途、適した加工について詳しくご紹介しています。

ウェットブラストの投射材を見る →

6.まとめ

ウェットブラストの投射材は、単に「どの種類を使うか」だけでなく、 粒径・硬度・比重・形状 という4つの要素から選定することが重要です。

粒径
エネルギーと精度
硬度
削れるかどうか
比重
衝突エネルギー
形状
加工メカニズム
 
POINT

投射材の選定では、 「何を除去したいのか」「どのような表面に仕上げたいのか」 という加工目的から逆算して、4つの要素を組み合わせて考えることがポイントです。

「より強い投射材」を選ぶのではなく、 加工目的に合った投射材を選ぶこと が、安定した加工結果につながります。

実際の加工に適した投射材を知りたい方へ

ワークの材質や形状、求める仕上がりによって、適した投射材は異なります。
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✎著者情報

グローバルマーケティング部 佐田 俊彦


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