xEV時代の駆動部品を支えるピーニング技術 - 軽量化・長寿命化を実現する表面改質とは -

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TECHNICAL FEATURE|PEENING

技術特集|ピーニング

部品の小型・軽量化と高耐久化を支える「ピーニング技術」。
本特集では、ショットピーニングの基礎から、ウェットショットピーニングの特長、処理技術、投射材まで順次ご紹介します。
4回目となる今回は、xEV時代の駆動部品に求められる性能と、ピーニング技術が果たす役割について解説します。

第1回

なぜ今、ショットピーニングなのか?

第2回

ショットとウェットの違い

第3回

ウェットショットピーニングの効果

第4回

xEV時代の駆動部品を支えるピーニング技術



1.はじめに

xEVの普及により、自動車部品に求められる性能は大きく変化しています。
特にモーターや減速機を構成する駆動部品では、小型化・軽量化・長寿命化が同時に求められるようになりました。

こうした背景から、部品表面の特性を改善する「ピーニング技術」が改めて注目されています。

今回のポイント

xEVの駆動部品に求められる小型・軽量化と高耐久化、ショットピーニングによる疲労強度向上、さらに表面粗さとNVH特性の関係について解説します。

これまでのピーニング特集はこちら

第1回|なぜ今、ショットピーニングなのか? →

第2回|ショットピーニングとウェットショットピーニングの違いとは? →

第3回|ウェットショットピーニングの効果 →


2.xEVの普及で何が変わったのか

内燃機関車からxEVへ移行しても、ギヤなどの駆動部品はなくなりません。むしろモーターの高トルク化に伴い、駆動部品にはより高い負荷への対応が求められます。
一方、航続距離の延長(電費向上)には、駆動部品の軽量化に加え、動力の伝達効率を高めることも重要です。つまり、「小さく、軽く、強く、効率よく」という要求が高まっています。

図①|xEVの駆動システムと主な構成部品

xEVの駆動システムを構成する主な部品のイメージ図です。※構成は車種・方式によって異なります。

REQUIREMENT 01

小型化・軽量化

駆動ユニットの省スペース化や電費向上への対応

REQUIREMENT 02

高耐久化

高トルクに対応し、繰り返し負荷に耐える性能の確保

REQUIREMENT 03

高効率化

動力伝達時の損失を低減し、電費向上に寄与

例えばギヤでは、軽量化と伝達効率の向上を図る手段の一つとして、小モジュール化が進んでいます。
しかし、モーターの高トルク化も相まって、設計条件によっては歯面に作用する面圧が大きくなり、耐久性の確保が課題となります。

図②|ギヤの小型化と耐久性確保の課題

ギヤの小型化の概念図です。実際の寸法や負荷条件を示すものではありません。

TECHNICAL NOTE

小モジュール化とは?

ギヤの歯の大きさを示すモジュールを小さくすることです。歯数などの設計条件に応じて、ギヤの小型化につながります。


3.ショットピーニングが果たす役割

ショットピーニングは、部品表面に圧縮残留応力を付与することで、疲労き裂の発生や進展を抑制する表面改質技術です。その結果、疲労強度の向上や耐久性の向上が期待できます。

POINT

圧縮残留応力によって疲労破壊を抑制

材料表面に圧縮残留応力を付与することで、繰り返し荷重による疲労き裂の発生・進展を抑え、部品の長寿命化に寄与します。

図③|ウェットショットピーニングによる圧縮残留応力の向上

 ウェットショットピーニング処理によって、表面硬度が向上するとともに、より大きな圧縮残留応力が付与されていることが分かります。

また、当社のウェットショットピーニングによる評価試験では、処理後の摩耗量が未処理品と比較して約90%減少する結果が得られています。

当社評価試験(ローラーピッチング試験)で確認された効果

摩耗量 約90%減少 ※未処理品との比較

※当社の特定条件での評価結果です。材料・処理条件・試験条件により結果は異なります。

図④|ローラーピッチング試験図

評価試験の概念図です。実際の試験条件は別途ご確認ください。

図⑤|摩耗量の比較(当社評価試験)

当社評価試験で得られた摩耗量の比較結果です。

こうした表面改質は、ギヤなどの駆動部品の高耐久化に向けた選択肢の一つです。なお、摩耗量の低減と、接触疲労によるピッチング・フレーキングの抑制は異なる評価項目です。後者については、用途に応じた評価が重要となります。

APPLICATION CASE

ウェットショットピーニングの適用事例をご紹介

自動車・航空部品への適用事例

ウェットショットピーニングが、 実際の部品にどのように活用されているのかをご紹介します。

適用事例を見てみる →


4.xEVでは「表面粗さ」も重要になる

しかし、単純に疲労強度を向上させるだけでは十分ではありません。
xEVは内燃機関車に比べてエンジン由来の騒音が小さいため、駆動ユニット音や振動(NVH)が目立ちやすくなります。

TECHNICAL NOTE

NVHとは?

Noise(騒音)・Vibration(振動)・Harshness(不快感)の略称です。車両の静粛性や乗り心地を評価するうえで重要な指標です。

一般的なショットピーニングでは、圧縮残留応力を付与できる反面、粒子の衝突によって表面粗さが増加する場合があります。
ギヤ歯面の表面粗さは、摩擦や動力伝達効率に加え、かみ合い時の振動や騒音にも影響する要素の一つです。
そのため、耐久性の向上と、伝達効率・NVH特性の確保を両立することが課題となります。

KEY CHALLENGE

高い圧縮残留応力 × 表面粗さの増加抑制

xEV駆動部品では、疲労強度の向上だけでなく、表面性状にも配慮した処理が重要です。

この「表面粗さの課題」については、次回、当社独自のウェットショットピーニング専用投射材「SUSTEAR🄬-P」のご紹介の中で改めて解説します。


5.まとめ

xEV時代の駆動部品には、小型・軽量化と高耐久化に加え、伝達効率やNVH特性への配慮が求められます。
ショットピーニングは、圧縮残留応力の付与を通じて、疲労強度向上に貢献する技術です。

次回は、疲労強度の向上と表面粗さの増加抑制の両立を目指して開発した「SUSTEAR🄬-P」についてご紹介します。

TECHNICAL DOCUMENT

ピーニング技術をもっと詳しく知りたい方へ

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ウェットショットピーニングをさらに詳しく知りたい方へ

微細投射材による表面改質や、ピーニングによる各種特性の改善について、関連する技術コラムでも詳しくご紹介しています。

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第5回

新投射材 「SUSTEAR🄬-P」とは?

次回は、疲労強度向上と表面粗さの増加抑制の両立を目指して開発したウェットショットピーニング専用投射材「SUSTEAR🄬-P」をご紹介します。

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ワークの材質や形状、求める疲労強度、表面性状によって、最適な処理条件は異なります。
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✎ 著者情報

グローバルマーケティング部 橘 和寿


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