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コラム

ウェットショットピーニングの効果 - 微細投射材を用いたピーニングによる部品の高耐久化 -

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ウェットショットピーニングの効果 - 微細投射材を用いたピーニングによる部品の高耐久化 -

 

TECHNICAL FEATURE|PEENING

技術特集|ピーニング

部品の小型・軽量化と高耐久化を支える「ピーニング技術」。
本特集では、ショットピーニングの基礎から、ウェットショットピーニングの特長、処理技術、投射材まで順次ご紹介します。
今回は、微細投射材を用いたウェットショットピーニングによる疲労強度向上や部品の高耐久化について詳しくご紹介します。

第1回

なぜ今、ショットピーニングなのか?

第2回

ショットとウェットの違い

第3回

ウェットショットピーニングの効果

第4回

COMING SOON



1.はじめに

これまで、なぜ今ショットピーニングが再注目されているのか、そして当社が開発に取り組んできたウェットショットピーニングの特長について解説してきました。
今回は、微細な投射材を用いるウェットショットピーニングによって、どのような効果が得られるのか、試験事例とともにご紹介します。

今回のポイント

ウェットショットピーニングによる疲労強度の向上と、微細投射材を用いることによる表面粗さの抑制・圧縮残留応力の付与について、評価試験の結果を交えながら解説します。


2.ピーニングによる部品の高耐久化

部品の小型・軽量化を進めながら高い耐久性を確保するためには、部品の破損をいかに抑制するかが重要です。
部品の破損には、材料に大きな力が加わることで生じる変形や破損のほか、比較的小さな力であっても、繰り返し作用することで生じる「疲労破壊」があります。

MECHANISM 01

過大な荷重による変形・破損

材料に作用する応力が降伏応力を超えると塑性変形が生じ、さらに条件によっては破損に至ります。

過大な荷重による塑性変形・破損の模式図

MECHANISM 02

疲労破壊

降伏応力より小さな応力であっても、繰り返し作用することで微小なき裂が発生・進展し、破壊に至ることがあります。

繰り返し荷重による疲労き裂の発生・進展の模式図

特に疲労破壊では、部品表面に発生する微小なき裂が、繰り返し荷重によって徐々に進展することが問題となります。

このき裂の発生・進展には、材料表面に作用する引張応力が大きく関係しています。
そこで有効なのが、ショットピーニングによる圧縮残留応力の付与です。

POINT

圧縮残留応力が疲労破壊を抑制する

ピーニング処理によって材料表面に圧縮残留応力を付与することで、外部から作用する引張応力の影響を緩和し、疲労き裂の発生や進展を抑制します。
これにより、部品の疲労強度向上や長寿命化が期待できます。

未処理材とピーニング処理材における圧縮残留応力と疲労き裂の発生・進展の比較模式図

圧縮残留応力による疲労き裂の発生・進展抑制(模式図)


3.ウェットショットピーニングによる疲労強度向上

ウェットショットピーニング処理による疲労強度向上の効果を確認するため、回転曲げ疲労試験を実施しました。

TEST METHOD

回転曲げ疲労試験とは?

試験片に曲げ荷重を加えながら回転させ、繰り返し応力によって破壊に至るまでの回数を測定する試験です。
材料の疲労特性を評価するために用いられます。

一般的に、材料表面の粗さが大きくなると、表面の凹凸部分に応力が集中し、疲労強度が低下する場合があります。
しかし、以下に示す回転曲げ疲労試験では、ウェットショットピーニング処理によって表面粗さ(Ra)が増加しているにもかかわらず、疲労強度の向上が確認されました。

ウェットショットピーニング処理による回転曲げ疲労試験の実測グラフ

   ウェットショットピーニング処理による回転曲げ疲労試験結果

試験によって確認された効果

疲労限度

約10%向上

破壊までの繰り返し数

最大約3倍

※特定の試験条件で得られた結果であり、材料や処理条件によって効果は異なります。

この結果から、ウェットショットピーニング処理によって付与された圧縮残留応力などの効果が、表面粗さの増加による影響を上回り、疲労強度の向上につながったと考えられます。

TECHNICAL NOTE

疲労限度とは?

繰り返し荷重を受けても疲労破壊が生じないと評価される応力の目安です。
実際の評価では、材料や試験条件、繰り返し数などを踏まえて判断します。


4.微細投射材によるピーニングのメリット

一般的なショットピーニングでは、投射材の衝突によって表面粗さが増加する場合があります。
一方、微細投射材を用いたウェットショットピーニングでは、表面粗さの増加を抑制しながら、材料表層に圧縮残留応力を付与できることが特長です。

FEATURE 01

表面粗さの増加を抑制できる

微細な投射材を使用することで、比較的大きな投射材を用いる場合と比べて、処理後の表面粗さの増加を抑制することができます。
これは、表面性状が性能に大きく影響するギヤ歯面などの処理において、重要なメリットとなります。

未処理・一般的なピーニング・微細投射材によるピーニングの表面粗さを比較した模式図

ピーニング処理後の表面粗さの比較(表面の凹凸は模式的に表現しています)

FEATURE 02

表面近傍に大きな圧縮残留応力を付与できる

微細投射材を用いることで、条件によっては材料のより表面に近い領域に大きな圧縮残留応力を付与することができます。
表面近傍の圧縮残留応力は、疲労き裂の発生・進展を抑制するうえで重要です。

微細投射材を用いたピーニングの圧縮残留応力分布の実測グラフ

   微細投射材を用いたピーニングによる圧縮残留応力分布

このような特長から、ウェットショットピーニングは、ギヤ歯面などで発生するフレーキングの抑制にも効果が期待されています。

TECHNICAL NOTE

フレーキングとは?

繰り返し接触による疲労き裂の発生・進展によって、材料表面の一部がうろこ状にはく離する現象です。
ギヤや軸受などの機械部品で問題となる場合があります。

APPLICATION

ギヤ部品の高耐久化への応用

表面粗さの抑制と圧縮残留応力の付与を両立することで、高い疲労強度が求められるギヤ部品への適用が期待されます。

ギヤ部品に求められる性能

表面性状の維持 × 高耐久化

CASE STUDY

実際の導入事例をご紹介しています

ウェットショットピーニングの導入事例

ウェットショットピーニングの適用分野や、疲労強度向上に関する事例をご紹介しています。

導入事例を見てみる →


5.まとめ

ウェットショットピーニングは、材料表層に圧縮残留応力を付与することで、疲労き裂の発生や進展を抑制し、部品の高耐久化に貢献する表面改質技術です。
今回の回転曲げ疲労試験では、疲労限度が約10%向上し、破壊に至るまでの繰り返し数が最大約3倍となる結果が得られました。

また、微細投射材を用いることで、表面粗さの増加を抑えながら、表面近傍に圧縮残留応力を付与できることも特長です。

  • 圧縮残留応力の付与によって疲労き裂の発生・進展を抑制
  • 疲労限度の向上と破壊寿命の延長
  • 微細投射材による表面粗さの増加抑制
  • ギヤなどの機械部品の高耐久化への応用

部品の小型・軽量化と高耐久化を両立するうえで、ウェットショットピーニングは有効な選択肢の一つです。

TECHNICAL FEATURE|PEENING

ウェットショットピーニングをさらに詳しく知りたい方へ

微細投射材による表面改質や、ピーニングによる各種特性の改善について、関連する技術コラムでも詳しくご紹介しています。

ウェットショットピーニングについてもっと詳しく見てみる →

TECHNICAL FEATURE|PEENING / NEXT

第4回

COMING SOON

次回も、ウェットショットピーニングに関する技術や特長についてご紹介します。

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