近年、部品の高強度化・軽量化・長寿命化が求められる中で、材料表面の改質技術がますます重要になっています。
その代表的な工法の一つが「ピーニング処理」です。
航空機や自動車をはじめとするさまざまな分野で活用され、部品の信頼性向上に大きく貢献してきました。
第1回である本稿では、まずピーニング処理の基礎として、その原理・種類・作用と効果について整理します。
ピーニング処理は、一般的には「ショット」と呼ばれる球状粒子を処理対象物に衝突させ、その表面を変形・改質する工法です。これにより、対象物の外観を変化させたり、機械的強度を向上させたりするなどの作用と効果が得られます。分散された球状粒子を処理対象物に衝突させる点から、ブラスト処理の一つに分類されます。
ピーニング工法の起源は1920年代のアメリカにさかのぼります。鋼球が当たったばねの疲労強度が向上することが偶然発見され、1930年代に工業化されました。
その後、第二次世界大戦期に航空機産業での採用が拡大し、現在では航空機部品には欠かせない処理となっており、自動車部品にも広く適用されています。
上述の通り、ピーニング処理は球状粒子を衝突させる手法が一般的ですが、近年では、下記に挙げる様々なピーニング工法が開発されています。各工法、一長一短あり、適材適所で使用されています。
マコーのウェットブラスト工法によるピーニング処理である『ウェットショットピーニング』は、その名からもわかる通り、空気圧式のショットピーニングに分類されます。ピーニング処理では、材料にエネルギーが加えられることで、処理対象物にさまざまな作用と効果がもたらされます。以下の表中に主な作用と効果を示します。
ピーニング処理が行われた結果、処理対象物そのものに生じる変化を「ピーニング作用」といいます。具体的には、表面の塑性変形に伴う衝突痕の形成や、組織の変化(相変態、結晶粒の微細化)、硬度の増加や圧縮残留応力の発生・付与などが挙げられます。
また、ピーニング作用によって得られる性能向上や特性の変化を「ピーニング効果」といいます。例えば、引張やねじりといった外から加わる力に対する抵抗力(材料強度)の向上や、疲労強度の向上、耐摩耗性の向上などがあり、材料(処理対象物)に多くの恩恵をもたらします。
今回(第1回)は、ピーニング処理について、基本的なお話をさせていただきました。
次回以降(~第5回)では、ピーニング処理の評価方法や効果が得られる原理、マコーのウェットショットピーニングの作用と効果の実例について紹介させていただきます。
次回は、第2回:ピーニング処理の評価方法 についてご紹介いたします。お楽しみに。
また、ウェットブラストの原理やシステムについての資料は、以下のリンクよりダウンロードが可能です。
グローバルマーケティング部 佐田 俊彦