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【第2回】ピーニング処理の評価方法

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【第2回】ピーニング処理の評価方法

ピーニング処理の効果は、どのように確認されているのでしょうか。第2回である本稿では、処理強さの考え方から現場での評価方法までを整理して解説します。




1.ピーニング処理の強さ 

第1回ではさまざまなピーニング工法を紹介しましたが、本稿では球状粒子を衝突させるショットピーニングを中心に説明します。 ピーニング処理の強さとは、処理対象物の表層に付与される圧縮残留応力や、表面に形成される衝突痕の大きさなど、いわゆる「ピーニング作用」を指します。(第1回コラム参照
これらは、粒子が対象物に衝突する際のエネルギー量(=1/2mv²)に依存します(下図1.)。



そのため一般的に、以下の条件が大きい/高いほど、処理の強さは増加します。

  • 粒子サイズ
  • 比重
  • 硬度
  • 速度

特に粒子硬度については、低い場合、衝突エネルギーの一部が粒子自身の変形に消費されてしまいます。その結果、対象物に伝わるエネルギーが減少するため、硬度が高い粒子ほど強いピーニング効果が得られる傾向があります。

材料や目的に応じて、ピーニング条件を適切に設定することが重要です。条件設定の考え方は実際の適用検討においても重要なポイントとなります。


2.ピーニング処理の定量評価

ピーニング処理の強さを示す指標は、圧縮残留応力、硬度、衝突痕の大きさなど多岐にわたり、それぞれ計測方法も異なります。

例えば、

  • 圧縮残留応力:X線測定装置を使用し、深さ方向の分布を測定する際には、電解研磨によるエッチングが必要
  • 硬度:マイクロビッカース硬度計など、静穏環境が必要で持ち運びが困難

このように、生産現場で直接これらを測定し品質確認を行うことは容易ではありません。

そこで実際の現場では、「アルメンストリップ(アルメン片)」と呼ばれる試験片を用いた、ピーニング作用の間接評価法が広く採用されています(下図2.)。
アルメンストリップはピーニング処理によって反り(アークハイト)が生じ、この変形量を測定することで処理強さを評価します。

この反り量の測定には「アルメンゲージ」(下図2.)と呼ばれる専用の測定器が用いられ、ストリップ中央部の変位量を高精度に読み取ることが可能です。

このように、実際の現場での評価にはいくつかの制約があり、評価方法の選定や測定手法の理解が、安定した品質確保につながります。



3.アルメンストリップによる間接評価

アルメンストリップによる評価方法は、米国規格「SAE J442」によって規定されています。
アルメンストリップは、高炭素ばね鋼で作られた試験片(約76×19mm、厚さ0.792.39mm)です。
片面にピーニング処理を行うと、表層の塑性変形によって反りが発生します。

この反り量は粒子の衝突エネルギーに依存し、エネルギーが高いほど大きくなる傾向があります(下図3.)。
反り量は専用の測定器(アルメンゲージ:上図.2)で測定され、「アークハイト」と呼ばれます。この値を用いて、ピーニング処理の強さ(=衝突エネルギー)を間接的に評価します。

また、処理強さに応じて厚さの異なるストリップ(ANCなど)を使い分け、測定値にはそれぞれ

  • mmA
  • mmN
  • mmC

といった単位が付与されます。

実際の生産現場では、あらかじめ対象部品(ばねやギアなど)で目標とする残留応力が得られる条件(球状粒子、圧縮空気の圧力、またはインペラの回転速度など)を設定し、同処理条件でのアークハイト値を記録しておきます。運用時には直接応力測定を行わず、定期的にアルメンストリップでアークハイトを確認し、基準値と一致していれば適正な処理が行われていると判断します。

アークハイトは処理強さを管理するうえで重要な指標となります。評価条件の設定や管理方法の理解が、安定した運用に寄与します。 


4.カバレージによる評価

ピーニング処理の度合いを示すもう一つの指標として、「カバレージ(エリアカバレージ)」があります。
粒子が衝突すると、処理面には円形の凹み(衝突痕)が形成されます。この衝突痕が表面のどの程度を覆っているかを視覚的に確認することで、処理の進行度を評価できます。

カバレージとは、処理面全体に対する衝突痕の総面積の割合(%)を指します(下図4.)。処理が進むにつれて未処理部分が減少し、すべての面が衝突痕で覆われた状態が「100%カバレージ」です。ただし、この状態でも衝突回数にはばらつきがあります。
そのため実務では、すべての領域に十分な処理を行う目的で、100%を超えるカバレージ(例:150300%)で処理するのが一般的です。
例えば300%は、100%に達するまでの時間の3倍処理した状態を意味します。

処理のばらつきを抑えるためには、カバレージの適切な管理が重要です。処理状態の把握と管理が、品質の安定化につながります。


5.まとめ

本稿では、ピーニング処理の評価方法として、

  • 強さの考え方(エネルギー依存)
  • アルメンストリップによる間接評価
  • カバレージによる処理度合い評価

について説明しました。
次回は、ピーニング処理の主な目的である「圧縮残留応力の付与」に焦点を当て、その発生原理や必要性、効果について解説します。
ピーニング処理の基礎については、第1回もあわせてご覧ください。


ピーニング処理の適用検討や評価方法についてのご相談も承っております。
自社部品への適用や処理条件の検討についても、お気軽にお問い合わせください。 



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✎著者情報

知財開発室 熊谷 勇雄