半導体パッケージのボイド不良とは? ‐ 原因・対策・そして「時間依存しない濡れ性制御」という新アプローチ ‐

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近年、AIサーバーやxEVの普及に伴い、半導体パッケージにはこれまで以上に高い信頼性と放熱性能が求められています。
その中で品質課題として注目されているのが、封止樹脂や接着剤内部に発生する「ボイド(空隙)」です。

ボイドは、放熱性能や絶縁性の低下、熱サイクルによるクラック・剥離などを引き起こす要因となり、特に車載・パワー半導体では製品の信頼性を左右する重要な課題となっています。

本コラムでは、ボイドが発生する原因や従来の対策を整理するとともに、時間経過による影響を受けにくい「濡れ性制御」という新たなアプローチについて、ウェットブラストを例に実証データを交えながらご紹介します。


  

目次



1.半導体パッケージのボイド不良とは

xEVやAIサーバー、高出力デバイスなどの普及に伴い、半導体パッケージにはこれまで以上に高い放熱性・信頼性が求められています。その中で品質上の大きな課題となっているのがボイド(Void)不良です。

ボイドとは、封止樹脂や接着剤の内部に発生する微小な空隙(気泡)のことを指し、樹脂が十分に充填されないことで発生し、放熱性や絶縁性を低下させる要因となります。
特に車載向けやパワー半導体では、ボイドが次のような不具合につながる可能性があります。


では、なぜボイドは発生してしまうのでしょうか。

ボイドの発生には、樹脂の流動性だけでなく、「濡れ性」が大きく関係しています。
次の章では、ボイドが発生するメカニズムと、従来の対策について解説します。

ボイド発生の原因を見てみる

 


2.ボイド発生の原因と従来対策

ボイドは、モールド樹脂や接着剤を充填する工程で、空気が内部に閉じ込められることで発生します。

主な原因として、

などが挙げられます。



これらに共通する重要な要素が「濡れ性」です。
濡れ性とは、液体が固体表面へどれだけ広がりやすいかを示す性質で、一般的には接触角によって評価されます。

濡れ性が悪いと樹脂が十分に広がらず、空気が逃げにくくなるため、ボイド発生のリスクが高まります。

そのため、濡れ性を改善する方法として広く採用されているのがプラズマ処理です。
プラズマ処理では表面に官能基を形成することで濡れ性を向上させます。

しかし、その効果は時間の経過とともに低下することが知られています。

そのため、

といった場合には、処理直後の濡れ性を維持できず、使う頃には効果が落ちている「賞味期限切れ」化が発生する場合があります。

このように、従来のボイド対策には、時間経過による濡れ性の変化という課題があります。
では、この課題を解決するにはどのような方法があるのでしょうか。次の章では、ウェットブラストによる新しいアプローチをご紹介します。

時間依存性が少ない濡れ性制御とは?

 


3.ウェットブラストによるボイド低減

ボイド低減には、時間経過による影響を受けにくい濡れ性を実現することが重要です。

そのアプローチの一つが、ウェットブラストによる物理的な表面改質です。
ウェットブラストでは、表面にナノ〜マイクロメートルレベルの微細な凹凸を形成します。

この微細凹凸により、

といった効果が期待でき、ボイド発生の抑制につながります。
さらに、表面形状そのものを制御する物理的なアプローチであるため、 濡れ性改善効果が長期間維持されやすく、工程間の待機時間や分業体制でも安定した品質を確保しやすいことが特長です。

関連導入事例‐基板表面の濡れ性向上

半導体分野におけるウェットブラストの活用事例をご紹介しています。

導入事例を見る ▶


ウェットブラストによるボイド低減効果は、実際の評価データでも確認されています。

次の章では、SEM観察や接触角測定などの実証データをもとに、濡れ性改善効果をご紹介します。

実証データで濡れ性改善効果を見てみる

 


4.実証データで見る濡れ性改善効果

ウェットブラストによる濡れ性改善効果を確認するため、以下の評価を実施しました。


1) 表面状態比較(SEM・表面粗さ)


ウェットブラストでは、物理的に微細な凹凸が形成され、表面積が増加していることが確認できます。


2) 接触角測定


ウェットブラスト処理後は未処理に比べ接触角が小さくなり、酸素プラズマと同程度、濡れ性が向上していることが確認できます。


3) 接触角の経時変化


プラズマ処理では時間経過に伴い接触角が増加したのに対し、ウェットブラストでは低い接触角を長時間維持しました。これは、時間依存の少ない濡れ性改善効果を示す結果と考えられます。

実証データから、ウェットブラストによる濡れ性改善効果を確認することができました。
最後に、本コラムのポイントを振り返りながら、導入によって期待できるメリットをまとめます。


5.まとめ

半導体パッケージにおけるボイド不良は、単なる洗浄不足ではなく、濡れ性をいかに安定して維持するかという表面制御の課題でもあります。
従来のプラズマ処理は濡れ性改善に有効な手法ですが、時間経過によって効果が低下するという課題があります。

一方、ウェットブラストは微細な表面粗化による物理的なアプローチで濡れ性を改善するため、時間依存性が少なく、工程間の待機時間や分業体制でも安定した品質を維持しやすいことが特長です。

その結果、

  • ボイド発生の低減
  • 密着性の向上
  • 工程の安定化
  • ケミカルレスによる環境負荷の低減

といった効果が期待でき、ボイド発生の抑制につながります。

「ボイド不良を低減したい」「濡れ性を安定させたい」「プラズマ処理後の時間経過による品質変動に課題を感じている」といったお悩みをお持ちの方は、
お気軽にマコーまでご相談ください。豊富な処理実績をもとに、サンプルテストを通じて、お客様のワークや工程に最適な処理条件をご提案いたします。

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