xEVパワーモジュール向け窒化ケイ素基板の高信頼性表面処理技術   ― ウェットブラストによる歩留まり向上と環境対応の両立 ―

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近年、自動車の電動化・高電圧化が進み、パワー半導体モジュールには「高放熱性」「絶縁性」「高信頼性」が求められています。
その中核を担う材料として採用が拡大しているのが窒化ケイ素(Si₃N₄)基板です。

高い抗折強度と熱伝導性を兼ね備える一方、脆性材料であるため、従来研磨処理や化学処理では白板の仕上げ工程における微小クラックに起因する抗折強度低下や、Cu板接合後の回路形成工程におけるパターン形成不良が発生しやすいという課題がありました。

そこで今回は、次世代EVパワーモジュールの信頼性向上に寄与する表面改質技術として、ウェットブラスト工法の有効性をご紹介します。


目次



1.ウェットブラストによる表面処理の特長

ウェットブラストは、水とメディア(投射材)を混合したスラリーを圧縮エアで加速・投射することで、化学薬品を使わず(ケミカルレス)に表面処理を行う技術です。
メディアをスラリーとして扱い、さらに高速かつ分散させた噴流にして衝突させることができるため、ショット・ドライブラストと称される乾式ブラストや、スラリーをポンプの動力で圧送するジェットスクラブに対して、微細メディアであっても加工効果が得られるという特長を持ちます。

 

2.パワーモジュール製造を支えるウェットブラストの4つの特長

特長1 抗折強度を低下させない敷粉・バインダ層の除去

微細メディアの衝突によって白板焼成後の表面に残存する微細な敷粉、バインダ層を除去するため、加工変質層はごくわずかであり、抗折強度を損ないません。


特長2 導体パターニング時のレジスト密着性向上

導体表面をウェットブラストすることによって、ドライフィルムレジストの密着に適した粗化表面を形成します。微細化を求められる導体パターニングの前処理として最適です。
微細投射材による粗化は、特長1と同様、抗折強度を損ないません。




特長3 処理の均一性、量産性が高い

ウェットブラストは、メディアをスラリーとしてコントロールするので、単位時間あたり一定、かつ乾式に対して多量のメディアを投射することが可能となります。
また、この特長を活かす要素技術がマコーオリジナルの幅広ガンです。最大有効幅600mmのスリットからの投射によって、広い面積に対してバラツキの小さい処理を実現します。
この幅広ガンと自動化可能なメディア管理を組み合わせることで高い再現性を維持し、品質の安定に貢献します。



特長4 薬品レス・粉塵飛散なしで、環境負荷低減とインライン化に対応

酸・アルカリ薬品を使用しないため、それらの廃液処理に伴う環境負荷はありません。
また、装置は粉塵発生源に該当しないため、インライン化にも適しています。


3.主な適用事例と適用装置


【適用事例】
セラミックス基板【導入実績:敷粉除去】
      LTCC【導入実績:不導体層除去】

【適用装置】
薄板状ワーク用ウェットブラスト装置 「mini PFE 100/200」
X軸付ウェットブラスト加工セル    「Lambda TypeⅡ」
研究開発用小型ウェットブラスト装置 「Jr. TypeⅡ」
         

4.まとめ

 ウェットブラスト工法は、

を実現可能でパワーモジュール製造における品質安定化と工程最適化に寄与します。
次世代EVパワー半導体基板の信頼性向上を支える技術として、ウェットブラスト工法は今後さらに重要性を増していくと考えられます。
 
 

また、ウェットブラストの原理やシステムについての資料は、以下のリンクよりダウンロードが可能です。



著者情報

グローバルマーケティング部 佐田 俊彦

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