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自動車部品のバリ取りを革新する(4)ー 粉塵レスとインライン化で工程設計の自由度を高めるウェットブラスト

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自動車部品のバリ取りを革新する(4)ー 粉塵レスとインライン化で工程設計の自由度を高めるウェットブラスト

バリ取りは本当にライン内に組み込めない工程なのか -

多くの自動車部品メーカーにおいて、バリ取りは依然として独立工程として設置されることが一般的です。その背景には、乾式処理特有の粉塵対策、防爆仕様、大規模集塵設備といった制約があります。
しかし、もし粉塵という制約が取り除かれたとしたら、工程設計の自由度は大きく変わります。

これまで三回にわたり、自動車部品におけるバリ取り技術の変遷と課題を論じてきました。
最終回である本稿では、その到達点として、水を媒体とするウェットブラストの特性に着目し、「インライン化を前提としたバリ取り」という新しい工程設計の考え方をご紹介します。

 

自社ラインでも、バリ取り工程を組み込めるのか?





1.なぜ「インライン化できるバリ取り」が求められているのか

自動車部品のバリ取り工程は、品質安定と生産効率の両立が求められています。しかし、従来の乾式ブラストでは粉塵対策や集塵設備が必要となり、インライン化の障壁になるケースが少なくありません。粉塵発生による周辺設備への影響、集塵設備・防爆対策・メンテナンス負荷、さらに大掛かりな密閉ブース等がインライン化を極めて困難な状況にしていると考えられています。

そして生産現場では、

  • タクト短縮による生産性向上
  • 複雑工程の単純化による経済合理性向上
  • 品質のばらつき抑制

が大きな命題である一方、バリ取り工程は後工程・別ラインになりがちで、生産効率・品質保証のボトルネックとなっています。

インライン化を阻んでいた最大の要因は、乾式処理による粉塵・集塵設備・防爆対策であることがわかりました。 では、水を媒体とするウェットブラストなら、何が変わるのでしょうか。

粉塵がなければ、バリ取り工程はライン内に組み込めるのか?


2.ウェットブラストが「インライン化を容易にする」技術的理由

ウェットブラストは水を媒体とするため、粉塵が水滴とともに大気中で沈下しやすく、衛生的な作業環境を維持できます[1]

この特長により、

  • 既存の製造ラインへ組み込みやすい
  • 周辺設備への粉塵汚染リスクを低減
  • ワーク形状・工程に合わせた専用設計がしやすい

といったメリットを発揮します。


さらに水を媒体とする特性上、乾式処理で懸念される粉塵爆発リスクを大幅に低減できる点も重要な利点です。
防爆仕様や大規模な集塵設備が不要となるケースが多く、消防関連の届出が原則不要となります。

これにより、従来は配置が難しかった熱処理工程付近への装置レイアウトも可能となり、工程間搬送距離の短縮、中間在庫削減といった物流改善に大きく寄与します。
単なる「粉塵対策技術」にとどまらず、工場全体のレイアウトの最適化を可能にする装置として機能します。

粉塵レスという特長だけでは、安定した量産工程は実現できません。ワーク形状やタクトに合わせた専用設計、均一処理を可能にする独自技術が重要です。



では、実際にインライン化を実現するには?





3.マコー独自技術による「インライン対応力」

当社のウェットブラスト装置は様々な要望に合わせたカスタマイズ設計を基本としており、当社独自の「幅広ガン」をはじめとした要素技術と組み合わせることで、シンプルかつ経済合理性の高い工程構築に貢献します。

さらに、投射材管理を含めた自動化技術と組み合わせることで、処理量・表面状態の再現性を高め、部品品質のばらつき抑制・安定化を実現します。
粉塵対策が不要になることで、設備保全負荷の低減、工場環境の改善、工程短縮にも貢献し、ウェットブラストは「インライン化を前提とした自動車部品のバリ取り技術」として評価されています。

ここまで、ウェットブラストがバリ取り工程のインライン化を容易にする理由と、そのために必要な技術について見てきました。次のセクションでは、実際にどのような部品・工程で活用されているのか、適用事例と代表的な装置をご紹介します。


実際には、どのような部品・装置で活用されているのか?

                 
              ▶ 事例を見る前にサンプルテストについて相談してみる



4.実際の適用事例

ウェットブラストによる自動車部品バリ除去は、さまざまな形状のワークで適用されています。 ここでは、実際の処理前後の例をご紹介します。

  • 自動車部品のバリ除去

クランクシャフト部品のバリ除去例
金属バリと油分を同時に除去し、複雑形状でも端部ダメージを抑えながら均一に仕上げます。


このほかにも、様々な自動車部品や金属切削加工品での適用実績があります。

                 
               ▶ バリ取りの課題から、最適な方法を探してみる



5.まとめ

バリ取り工程のインライン化は、単に設備をライン内に配置するという問題ではありません。それは、生産効率・品質保証・安全対策・物流設計を含めた工場全体の最適化に直結するテーマです。

ウェットブラストは粉塵レスという特性により、これまで障壁となっていた制約を取り除き、工程設計の自由度を大きく広げます。その結果、搬送距離の短縮や中間在庫削減、保全負荷低減といった副次的効果も期待できます。
今後の自動車部品製造においては、「どのようにバリを取るか」ではなく、「どのように工程へ組み込むか」という視点が重要になります。ウェットブラストは、その発想転換を可能にする技術です。

もし現在、粉塵対策や搬送負荷、後工程化による生産性低下に課題を感じているのであれば、ウェットブラストによるインライン化の可能性を検討してみてはいかがでしょうか。



自社ラインでも、バリ取り工程をインライン化できるか確認してみませんか?

 

  装置仕様や導入事例をまとめた資料はこちら       バリ取りのインライン化を試してみませんか?


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✎ 著者情報・参考文献


【著者】
  グローバルマーケティング部 佐田 俊彦 

【参考文献】
[1]諏訪誠 : 実用湿式・乾式ブラストとその応用,(1974), 不二機材株式会社.

また、ウェットブラストの原理やシステムについての資料は、以下のリンクよりダウンロードが可能です。