異種材料間の「接着」や、めっき・コーティング工程における「密着性」は、製品の信頼性を左右する極めて重要な要素です。しかし実際の現場では、材料特性や表面状態の違いにより、剥離や密着ムラといった課題がしばしば発生します。
密着性は、単に表面を粗化すれば向上するものではなく、表面形状、清浄度、さらには界面における分子間相互作用が複合的に関与する現象です。近年では、樹脂‐金属接着の研究において、アンカー効果(機械的投錨効果)と、界面化学的な吸着・結合の両立が重要であることが述べられています。
ウェットブラストは、自動車部品、電子デバイス、超硬工具など幅広い分野において、こうした密着性に関する課題を解決してきた表面改質技術です。単なる表面処理にとどまらず、微細凹凸の形成、表面研削による活性面の曝露、洗浄を同時に行う点に特長があります。
そこで本コラムでは、ウェットブラストによる密着性向上のメカニズムと、その適用効果について詳しく解説します。
異種材料同士の接着や、めっき・コーティング工程において密着不良が発生する主な要因は、次のように整理できます。
密着性は、界面での破壊が起こるか、材料内部での破壊が起こるかという破壊モードによって評価されます。理想的には、界面での結合が十分に強く、破壊が材料内部で起こる状態が望まれます。金属箔やエンジニアリングプラスチック、ガラスなどの脆性材では、過度な処理による材料ダメージ、化学処理による環境負荷を避けたいという要望が強くなっています。
そのため、化学薬品に過度に依存せず、表面状態を所望の状態に制御できる前処理技術が求められています。
▶ 密着性を向上させる具体的な処理方法を知りたい方はこちら(ウェットブラストとは)
ウェットブラストは、水とメディア(研磨材)混合したスラリーを投射する表面改質技術です。おもな特長は次のとおりです。
密着性の観点から重要なのは、単なる粗さ付与だけでなく、界面における分子間相互作用をいかに引き出すかという点です。
樹脂‐金属接着の界面化学的研究では、
が接着強度に大きく寄与することが示されています。
ウェットブラストは、微細凹凸による表面積拡大とアンカー効果に加え、表面研削による活性面の曝露、洗浄を同時に行う点に特長があり、機械的結合と化学的結合の両立が期待できる前処理であるといえます。
▶ 密着性が最大2.5倍向上した事例はこちら
▶ 他工法からの置き換えで工程削減・自動化を実現した事例はこちら
【適用事例】
ガラス【導入実績:薄膜の密着性向上】
CFRP 【導入実績:塗装密着性向上】
フィルム【導入実績:樹脂フィルムの表面改質】
超硬工具【導入実績:コーティング密着性向上】
自動車部品【導入実績:異種材料の密着性向上、摺動性部品のナイロンコーティング接着前処理、クラッチの摩擦材密着前処理、ブレーキパッドの接着前処理】
【適用装置】
薄板状ワーク用ウェットブラスト装置「mini PFE 100/200」
X軸付ウェットブラスト加工セル「Lambda TypeⅡ」
6軸多関節ロボット式試験用ウェットブラスト装置「Robot Blast」
超硬チップ処理用装置 「RBI-203」、「VD-W019」、「VD-R019」、「W3MN-Q010」
ウェットブラストは、
を同時に得られる表面改質技術です。金属箔・樹脂・ガラスなど、従来工法では難易度の高い分野において、密着性向上の有力な選択肢になることが期待できます。
密着性に課題をお持ちのお持ちのお客様は、お気軽に当社までご相談ください。
▶ 関連コラムは下記から
また、ウェットブラストの原理やシステムについての資料は、以下のリンクよりダウンロードが可能です。