入門:ウェットブラストの基本要素 (3)-気体・液体・固体の3相流が他工法との違いを生む-

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ウェットブラストは、気体(圧縮エア)・液体(水)・固体(投射材)という相状態の異なる3つを組み合わせて加工を行う表面処理技術です。
本コラムではそれぞれの役割について解説し、アブレシブウォータージェットやドライブラストとの違いを明らかにしていきます。

 

ウェットブラストの加工イメージや代表的な特長について見てみたい方はこちら

ウェットブラストとは?

目次



1.圧縮エア‐投射材に「エネルギー」を与える役割

圧縮エアは、スラリー(水+投射材)を被加工物へ向けて加速させるエネルギー源です。
単にスラリーを加速するだけでなく、

といった働きも担います。

スラリーを分散させ、運動エネルギーの小さい状態で加工対象物に衝突させているため、 アブレシブウォータージェットでは加工困難なフィルム等の薄物処理が可能となります。



圧縮エアによるミスト化が、低ダメージ加工を実現していることが分かりました。
では、実際にどのようなワークへ適用されているのでしょうか。

 

低ダメージ加工を実現するウェットブラスト事例を見てみる

2.水‐投射材の「キャリア」

水は固体である投射材を包み込み、液体(スラリー)として扱うためのキャリアとして機能します。
投射材をスラリーとして扱うことで、

といったドライブラストでは得られない効果を生み出します。

さらに、加工直後の表面は水膜で覆われ、投射材やスラッジの直接の再付着を抑制するため、簡易的な水洗のみで清浄な表面が得られます(水膜のキャリーアウト効果)。
また、脱脂剤や防錆剤を加えることで二次的な表面処理も可能です。



粉塵抑制や再付着防止といった特長は、実際の製造現場でどのように活用されているのでしょうか。



3.投射材‐「仕上がり」を決める要素

投射材は、「粗す」「削る」「叩く」「除去する」といった直接的な加工を担う重要な要素です。
その形状(多角形・球状)、粒径、硬度、比重によって、得られる処理表面の状態(表面粗さや削れ量など)は大きく変化します。そのため、被加工材の材質や処理目的に応じて、適切な投射材を選定する必要があります。

例えば、表面を積極的に削り込む加工やバリ取りには、多角形で硬度・比重の高い粒子が用いられます。
一方で、表面へのダメージを極力抑えながら洗浄したい場合には、球状で硬度の低い粒子が選定されます。
なお、投射材選定のポイントについては、別のコラムで詳しくご紹介する予定です。

ウェットブラストは、アブレシブウォータージェットやドライブラストと同じ「遊離砥粒加工」に分類されます。
しかし、加工結果が大きく異なるのは、水・空気・投射材による"3相流"という独自の組み合わせだからこそなせる"技"なのです。

 投射材は、「仕上がり」を決定する重要な要素であることが分かりました。では、実際にどのような投射材が使われているのでしょうか。

 

                 



4.まとめ

さて今回は、ウェットブラストを構成する「圧縮エア・水・投射材」という3つの基本要素について紹介してきました。
それぞれが異なる役割を担いながら相互に作用することで、ウェットブラスト特有の加工特性が生み出されています。

特に、水を介して投射材を搬送・分散させることで、粉塵抑制や低ダメージ化、加工後の清浄性向上といった、ドライブラストにはない特性を実現しています。
また、投射材の種類や条件を適切に選定することで、バリ取りから洗浄、表面改質まで幅広い用途へ対応できる点も、ウェットブラストの大きな特長と言えます。

同じ「遊離砥粒加工」に分類されるアブレシブウォータージェットやドライブラストと比較しても、加工結果が大きく異なるのは、この3相流を活用した独自の加工メカニズムによるものです。
ウェットブラストを理解するうえでは、単に装置や条件だけではなく、「気体・液体・固体をどのように組み合わせて制御しているか」という視点が重要になるでしょう。


加工品質や工程改善において、ウェットブラストがどのように活用できるのか気になった方はお気軽にご相談ください。

 

                 



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✎ 著者情報・参考文献


【著者】
  グローバルマーケティング部 佐田 俊彦 

【参考文献】
  諏訪誠 : 実用湿式・乾式ブラストとその応用,(1974), 不二機材株式会社.

また、ウェットブラストの原理やシステムについての資料は、以下のリンクよりダウンロードが可能です。

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