ウェットブラストは、気体(圧縮エア)・液体(水)・固体(投射材)という相状態の異なる3つを組み合わせて加工を行う表面処理技術です。
本コラムではそれぞれの役割について解説し、アブレシブウォータージェットやドライブラストとの違いを明らかにしていきます。
ウェットブラストの加工イメージや代表的な特長について見てみたい方はこちら
圧縮エアは、スラリー(水+投射材)を被加工物へ向けて加速させるエネルギー源です。
単にスラリーを加速するだけでなく、
ミスト状に分散させることで、被加工面への衝撃を緩和 (細かな水滴にすることで衝突時の運動エネルギーを低減)
といった働きも担います。
スラリーを分散させ、運動エネルギーの小さい状態で加工対象物に衝突させているため、 アブレシブウォータージェットでは加工困難なフィルム等の薄物処理が可能となります。
圧縮エアによるミスト化が、低ダメージ加工を実現していることが分かりました。
では、実際にどのようなワークへ適用されているのでしょうか。
水は固体である投射材を包み込み、液体(スラリー)として扱うためのキャリアとして機能します。
投射材をスラリーとして扱うことで、
といったドライブラストでは得られない効果を生み出します。
さらに、加工直後の表面は水膜で覆われ、投射材やスラッジの直接の再付着を抑制するため、簡易的な水洗のみで清浄な表面が得られます(水膜のキャリーアウト効果)。
また、脱脂剤や防錆剤を加えることで二次的な表面処理も可能です。
投射材は、「粗す」「削る」「叩く」「除去する」といった直接的な加工を担う重要な要素です。
その形状(多角形・球状)、粒径、硬度、比重によって、得られる処理表面の状態(表面粗さや削れ量など)は大きく変化します。そのため、被加工材の材質や処理目的に応じて、適切な投射材を選定する必要があります。
例えば、表面を積極的に削り込む加工やバリ取りには、多角形で硬度・比重の高い粒子が用いられます。
一方で、表面へのダメージを極力抑えながら洗浄したい場合には、球状で硬度の低い粒子が選定されます。
なお、投射材選定のポイントについては、別のコラムで詳しくご紹介する予定です。
ウェットブラストは、アブレシブウォータージェットやドライブラストと同じ「遊離砥粒加工」に分類されます。
しかし、加工結果が大きく異なるのは、水・空気・投射材による"3相流"という独自の組み合わせだからこそなせる"技"なのです。
投射材は、「仕上がり」を決定する重要な要素であることが分かりました。では、実際にどのような投射材が使われているのでしょうか。
さて今回は、ウェットブラストを構成する「圧縮エア・水・投射材」という3つの基本要素について紹介してきました。
それぞれが異なる役割を担いながら相互に作用することで、ウェットブラスト特有の加工特性が生み出されています。
特に、水を介して投射材を搬送・分散させることで、粉塵抑制や低ダメージ化、加工後の清浄性向上といった、ドライブラストにはない特性を実現しています。
また、投射材の種類や条件を適切に選定することで、バリ取りから洗浄、表面改質まで幅広い用途へ対応できる点も、ウェットブラストの大きな特長と言えます。
同じ「遊離砥粒加工」に分類されるアブレシブウォータージェットやドライブラストと比較しても、加工結果が大きく異なるのは、この3相流を活用した独自の加工メカニズムによるものです。
ウェットブラストを理解するうえでは、単に装置や条件だけではなく、「気体・液体・固体をどのように組み合わせて制御しているか」という視点が重要になるでしょう。
装置仕様や導入事例をまとめた資料はこちら 自社ワークでウェットブラストを試してみませんか?