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コラム

WSBは、本当に使えるのか?- WSB③ 実証データで見る量産適用性 -

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WSBは、本当に使えるのか?- WSB③ 実証データで見る量産適用性 -
  

1.はじめに

ここまで2回にわたり、WSB(ウェットショットブラスト)の仕組みや特長をご紹介してきました。

第1回では、WSBが圧縮エアを使用しない新しいブラスト技術であること、第2回では、ウェットブラスト(WB)と同等の加工品質を維持しながら、省エネルギーやランニングコスト削減が期待できることをご紹介しました。

では、最後に残る疑問は一つです。

「WSBは、本当に現場で使えるのか?」

最終回である本稿では、表面粗さや接着品質、処理時間、ランニングコストなどの実証データをもとに、その疑問にお答えします。

実証データから、WSBの実用性を見ていきましょう。


2.品質は要求を満たすのか?

WSBを実際の製造現場で使用するためには、まず要求される加工品質を満たせるかどうかが重要です。
今回は、アルミ試験片による表面粗さの測定と、ユーザー支給ワークによる実加工評価を行いました。

結論 アルミ試験片と実ワークの両方で、要求される加工品質を満たすことを確認しました。

① アルミ試験片による表面粗さの評価

最初に確認したのは、ブラスト加工において重要な指標の一つである「表面粗さ」です。
試験では、アルミ試験片に対してWSB処理を行い、加工後の表面粗さを測定しました。

  • 目標値:RzJIS 20μm以上
  • 測定結果:RzJIS 22~28μm
測定結果は目標値を上回っており、圧縮エアを使用しないインペラ方式でも、十分な粗化性能を発揮できることを確認しました。

② 実ワーク評価(ゴム接着品質)

試験片による評価に加え、実際のユーザー支給ワークでも加工品質を確認しました。
評価した項目は、以下の3点です。

  • 表面粗さ
  • リン酸被膜の生成状態
  • ゴム密着強度

いずれの項目についても、お客様より「問題なし」との評価をいただいています。
つまり、単純な試験片だけでなく、実際のワークにおいても、後工程であるリン酸被膜処理やゴム接着に必要な表面品質を確保できることが確認されました。

※評価内容には機密情報が含まれるため、詳細な数値や条件の公開は控えさせていただいております。

以上の結果から、WSBはインペラ方式でありながら、要求される表面粗さを確保し、実ワークにおけるゴム接着品質にも対応できることが分かりました。
ただし、生産性が伴わなければ実用化はできません。次に、WSBの処理時間を見ていきます。

 


3.生産性は向上するのか?

加工品質が優れていても、処理時間が長くなってしまっては、生産現場での採用は難しくなります。
そこで、WSBと従来のウェットブラスト(WB)で処理時間を比較し、生産性を評価しました。

結論  WBと同等の加工品質を維持しながら、処理時間を最大約40%短縮できる可能性があります。

実際の評価では、同等品質を得るための処理時間は以下の結果となりました。

WB:300秒
WSB:180秒

▶ WSBでは、同等の加工品質を維持したまま、処理時間を最大約40%短縮できる可能性があることを確認しました。※処理時間はワーク形状や加工条件によって異なります。)

WSBが、WBより処理時間を短縮可能な主な理由は、以下の2つです。

  • 投射エネルギーが安定していること
  • ノズル方式よりも処理範囲が広いこと

そのため、一度に広い範囲を効率よく安定して処理でき、ワーク全面を短時間で加工できます。

WSBは、加工品質を維持しながら処理時間の短縮が期待できるため、生産性向上にも貢献できる技術です。
特に、処理時間の短縮は設備のスループット向上につながるため、量産ラインでの活用も期待できます

では、処理を行う上でのランニングコストは、どのくらい削減できるのでしょうか?


4.ランニングコストはどう変わるのか?

品質や生産性に加え、設備を導入する際に重要となるのがランニングコストです。
WSBでは、消耗品だけでなく、電力や工場インフラにもメリットがあります。

結論 消耗品コストを維持しながら、エネルギーコストを大幅に削減できます。

まず、ランニングコストを測る上で気になるのが消耗品です。
評価の結果、

  • 研磨材の消耗量:従来WBと同等レベル
  • インペラ寿命:約3,000時間

となり、消耗品コストを大きく増やすことなく、WSBを運用できます。

また、WSBの大きな特長の一つが、省エネルギー性です。
評価の結果、

使用電力量:WB比で約1/3
専用コンプレッサー:不要(WBの場合は、圧縮エアを使用するため必須)

となりました。

WSBは、単に電気代を削減する設備ではありません。圧縮エアを使用しないため、専用コンプレッサーが不要となり、工場インフラの簡素化にも貢献します。
設備だけでなく、工場全体のエネルギー効率改善にもつながる点が、WSBの大きな特長です。

品質・生産性・コストの検証結果を踏まえ、WSBは本当に使えるのか。その結論をご紹介します。

5.まとめ

ここまで、品質・生産性・ランニングコストの3つの観点からWSBを検証してきましたが、
今回の評価結果を整理すると、以下のようになります。

評価項目 今回の評価結果
品質 要求品質を満たすことを確認
生産性 同等品質で処理時間を最大約40%短縮
ランニングコスト 電力消費約1/3かつ専用コンプレッサー不要

この結果から、WSBは単なる新しいブラスト方式ではなく、品質を維持しながら生産性とランニングコストの改善も期待できる技術であることが分かりました。
また、WSBは単に圧縮エアを使わないブラスト装置ではありません。工場のエネルギー使用や設備構成そのものを見直す、新たな選択肢として活用できる可能性があります。

一方で、実際の導入にあたっては、「自社のワークでも同様の結果が得られるのか」という点を確認することが重要です。

ワークの材質や形状、要求品質はお客様ごとに異なるため、最適な加工条件も変わります。
そのため、マコーではサンプルテストを通じて、お客様のワークに合わせた最適な加工条件をご提案しています。

「自社のワークにも適用できるだろうか」
「現行のウェットブラスト(WB)と比較してみたい」

といったご相談も歓迎しています。まずはお気軽にお問い合わせください。