なぜ今、ショットピーニングが再注目されているのか?- 部品の小型・軽量化と高耐久性を両立する表面改質技術 -
TECHNICAL FEATURE|PEENING
技術特集|ピーニング
部品の小型・軽量化と高耐久化を支える「ピーニング技術」。
本特集では、ショットピーニングの基礎から、ウェットショットピーニングの特長、処理技術、投射材まで順次ご紹介します。
第1回
なぜ今、ショットピーニングなのか?
第2回
ショットとウェットの違い
第3回
COMING SOON
第4回
COMING SOON
1.はじめに
近年、自動車をはじめとする輸送機器の製造業では、電動化や環境負荷低減の進展を背景に、「軽量化」「省資源化」「長寿命化」「CO₂排出削減」が重要なテーマとなっています。
こうした要求に応えるため、ギヤやシャフトなどの機械部品には、小型・軽量化と高い耐久性の両立が求められています。一方で、部品を小さく、軽くするほど、限られた断面積でより大きな負荷を受けることになり、疲労破壊などのリスクも高まります。
こうした中、部品の疲労強度や耐久性を向上させる表面改質技術として、改めて注目されているのが 「ショットピーニング」です。
2.ショットピーニングとは?
ショットピーニングとは、金属部品の表面に小さな投射材(ショット)を高速で衝突させることで、部品表面を改質する技術です。
投射材が表面に衝突すると、表面付近に塑性変形が生じ、圧縮残留応力が付与されます。
投射材を金属表面に衝突させることで、表面に圧縮残留応力を付与します。
金属部品の疲労破壊は、表面付近に発生した微小なき裂が進展することで起こるケースが多くあります。
ショットピーニングによって表面に圧縮残留応力を付与することで、き裂の発生や進展を抑制し、疲労強度や耐久性の向上を図ることができます。
そのため、ギヤ、シャフト、ばね、軸受、航空機部品など、高い耐久性が求められるさまざまな部品に活用されています。
3.なぜ今、ショットピーニングが再注目されているのか
部品や製品の軽量化は、自動車の燃費・電費向上やCO₂排出量の削減につながります。
一方で、部品を小型・軽量化すると、部品にかかる負荷が相対的に高まり、疲労破壊や摩耗などのリスクが増加するという課題があります。
ギヤやシャフトなどの駆動部品では、小型・軽量化と高耐久化の両立が求められています。
従来は、高強度材料への変更や熱処理、コーティングなどによって、部品の耐久性向上が図られてきました。
しかし、さらなる小型・軽量化と高耐久化が求められる中では、従来の対策だけでは対応が難しいケースも出ています。
いま部品に求められていること
小さく・軽くしたい
強度・耐久性は落とせない
そこで、従来の対策と組み合わせることができ、材料そのものを大きく変えることなく耐久性の向上を図れる技術として、ショットピーニングが改めて注目されています。
ショットピーニングでは、部品表面を改質することで疲労強度の向上を図ることができます。
また、材料選定や熱処理など、ほかの強化方法と組み合わせて活用することもできます。
4.電動化によって高まる疲労強度への要求
特に自動車の電動化では、ギヤ・シャフト・軸受・駆動部品などの小型・軽量化が進む一方、限られたスペースの中でより大きな負荷を受けることが求められています。
小さな部品であっても大きな負荷に耐え、長期間にわたって安定して使用できることが求められるため、 部品の疲労強度をいかに高めるかが重要な技術課題となっています。
そのため、材料や部品形状だけでなく、「表面をどのように改質するか」という視点が、これまで以上に重要になっています。
5.ショットピーニング技術も進化している
ショットピーニングは以前から利用されている技術ですが、部品に求められる性能の高度化に合わせて、その処理技術も進化しています。
こうした課題に対応するため、マコーではウェットブラスト技術を応用した「ウェットショットピーニング」の開発に取り組んできました。
液体・投射材・圧縮空気を混合したスラリーを噴射するウェットショットピーニング。
ウェットショットピーニングでは、液体・投射材・圧縮空気を混合したスラリーを噴射し、投射材を部品表面に衝突させることで表面改質を行います。
では、一般的なショットピーニングと、ウェットショットピーニングでは何が違うのでしょうか。
投射方法や使用する投射材、処理後の表面性状など、両者にはそれぞれ異なる特長があります。
6.まとめ
自動車をはじめとする輸送機器では、軽量化、省資源化、長寿命化、CO₂排出削減への要求が高まり、 部品にも「小型・軽量化」と「高耐久性」の両立が求められています。
一方で、部品を小型・軽量化するほど、限られた断面でより大きな負荷を受けるため、疲労強度をどのように確保するかが重要になります。
そこで、部品表面に圧縮残留応力を付与し、疲労強度の向上を図ることができる ショットピーニングが、改めて重要な技術となっています。
小型・軽量化を進めながら、
疲労強度と耐久性を高める。
ショットピーニングは、これからの部品設計・製造において、その両立を支える表面改質技術のひとつです。
TECHNICAL FEATURE|PEENING
本特集で詳しくご紹介します
今後の技術特集では、ウェットショットピーニングについて、以下のテーマを順次取り上げていきます。
- ショットピーニングとウェットショットピーニングの違い
- ウェットブラスト+幅広ガンによる高効率処理
- 微細・高硬度投射材による表面改質
- 新投射材「SUSTEAR®-P」
TECHNICAL FEATURE|PEENING / NEXT
第2回
ショットピーニングとウェットショットピーニングの違いとは?
次回は、一般的なショットピーニングとウェットショットピーニングについて、 投射方法・投射材・処理後の表面性状などの違い を比較しながら、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。
ピーニング処理についてお困りではありませんか?
ワークの材質や形状、求める疲労強度、表面性状によって、最適な処理条件は異なります。
マコーでは、ウェットショットピーニングの処理検討やサンプルテストについてもご相談いただけます。
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✎著者情報
グローバルマーケティング部 佐田 俊彦
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