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マコーのウェットショットピーニング【第4回】

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マコーのウェットショットピーニング【第4回】

本コラムの第1~3回では、ピーニング処理の作用と効果、その評価方法など、基本的な項目についてお話ししました。
全5回を予定している本コラム、第4回目となる今回は、マコーが提案する「ウェットショットピーニングTMについてお話します。




1.『ウェットショットピーニングTM』の特長 

ウェットショットピーニングは、マコーのウェットブラスト技術を用いたピーニング処理工法です。
その主な特長は、下記の3つです。


1) ピーニング処理時における加工熱発生の抑制が可能

投射材粒子のみを処理対象物表面に衝突させる従来のショットピーニング(インペラ式 / 空気圧式)工法では、粒子衝突に伴う処理対象物表層や粒子自身の変形、両者の接触による摩擦などにより加工熱が発生します。
ギアなどの浸炭焼入品に処理を行う際には、十分なピーニング作用を得るために時間をかけ多くの粒子を衝突させる必要があり、処理面が高温となる可能性があります。

こうして発生した加工熱は、せっかく付与/向上された圧縮残留応力や硬度の低下、材料組織の劣化、処理対象物の熱変形・寸法変化を引き起こす可能性があります。
その反面、ウェットショットピーニングは水による常時冷却効果で、加工熱による悪影響を軽減・排除することができます。


2) マコー独自の幅広ガンを用いた高効率・均一処理が可能

従来のブラスト(空気圧式)で用いられるブラストガン/ノズルは円形断面であるため、処理のパターン(投射形状)も円形となり、その構造上、パターン/ノズル中心において処理が強く(粒子数が多く、また、速度が速いため)、中心から離れるほど処理が弱くなります。

一方、幅広ガンはスリット状の断面をもつノズルであり、そのスリットの全幅(最大100mm ※100mm超は要相談)にわたって、粒子数と速度がほぼ均一であり、1方向に走査処理するだけで、広範囲を均一な強度でピーニング処理することができます(図1,2)。




3) 微細投射材粒子を用いることで、低強度・低剛性の処理対象物(薄物・小型部品など)への処理が可能

ウェットブラストは粒子を水と混合させたスラリとして扱うことで、従来のブラストでは使用できない数ミクロンサイズの微小粒子でもピーニング処理に使用できます。
薄物の処理対象物に対して高いエネルギ(大径や高比重の粒子、高い投射エア圧力)で処理した場合、圧縮残留応力が付与されるどころか、引張応力が作用し変形や破壊が生じます。

ウェットショットピーニングでは、微細な粒子を用いて、投射エア圧力も調整することで、低強度・低剛性の対象物に対しても最適なピーニング作用を付与することができます。

ウェットショットピーニングのベースとなる「ウェットブラスト」の原理や特長について詳しく解説しています。



2.『ウェットショットピーニングTM』の作用と効果

3に、径が異なる3種のジルコニア投射材を用いて、SCM415浸炭材に対しウェットショットピーニング処理を行った際のピーニング作用(残留応力分布)の結果を示します。

3種共、-2000MPaを超える高い圧縮残留応力が付与されており、φ30,50μmでは、試料の最表面に圧縮残留応力のピーク値をもつC型の分布を示すのに対し、φ180μmでは、内部(深さ30μm付近)にピーク値を示し、表面近傍ではわずかに低下するS型の分布を示しています。(応力のピーク値や応力層深さ、分布形状は、資料や投射材など処理条件によって異なります)

4に、ウェットショットピーニング処理による材料疲労強度への影響を確認するために行った、回転曲げ疲労試験の結果を示します。

疲労強度を低下させる大きな要因として、表面粗さの増加があります(表面の凹凸が応力集中による破壊の起点となる)が、ピーニング処理後は表面粗さ(Ra)が増加しているにもかかわらず、疲労限度(この応力以下であれば何度負荷を繰り返しても破壊しない)は約10%増加し、破壊に達するまでの負荷繰り返し数は23倍に増加しています。


5には、ウェットショットピーニング処理による材料の硬度/耐摩耗性への影響を確認するために行った、ローラピッチング試験の結果を示します。

ウェットショットピーニング処理により、材料の表面硬度は約300HV増加し、その結果、摩耗量は約1/15に減少しました。

ここまで、ウェットショットピーニングの特長・作用と効果について見てきました。
次セクションでは、本コラムのポイントをまとめていきます。

3.まとめ

本稿では、マコーが提案する「ウェットショットピーニング」の特長と、その作用・効果についてご紹介しました。

ウェットショットピーニング™は、水による冷却効果による加工熱の抑制、幅広ガンによる均一処理、微細投射材を活用した薄物・小型部品への適用など、従来のショットピーニングにはない特長を有しています。また、高い圧縮残留応力の付与に加え、疲労強度や耐摩耗性の向上など、材料特性を高める効果も確認されています。

次回はいよいよ最終回です。
マコーが開発したピーニング専用投射材「SUSTEAR-P」を用いたウェットショットピーニングについて、SCM420浸炭焼入材を用いた評価結果をもとに、
投射材硬度が残留応力や表面粗さに与える影響や、投射材硬度を調整することで表面粗さをコントロールできる技術をご紹介します。

ウェットショットピーニングについて、「自社部品にも適用できるのか」「どの程度の効果が期待できるのか」などのご相談も承っております。自社部品への適用や処理条件の検討についても、お気軽にお問い合わせください。