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全固体電池の電極密着性を強化する新提案 ー ステンレス箔を重量・厚み増加なしで粗化 ―

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全固体電池の電極密着性を強化する新提案 ー ステンレス箔を重量・厚み増加なしで粗化 ―

全固体電池では、電極層と金属集電体(SUS箔)の密着性が性能・耐久性を大きく左右します。
硫化物に対応するために電極材料に耐食性が求められており、ステンレス箔にも注目が集まっています。

しかし従来の銅やアルミとは異なり、化学エッチングによる安定した粗化が難しく、現状は粗化めっきに依存せざるを得ないのが実情です。従来の粗化めっき工法には密着力の向上と引き換えに、重量増・コスト増に加え、設計・量産面での制約などの課題が残っていました。

そこで本コラムでは、ステンレス箔表面を「薄さそのまま・重量増なし」で粗化できるウェットブラスト工法をご紹介し、粗化めっきの代替技術としての有効性を解説します。




1.ステンレス箔の粗化工法 - メリットと課題

ステンレス箔の密着向上に用いられる代表的な工法とメリット・課題は、次の通りです。

工法 メリット 課題
粗化めっき ・大きな表面粗さを形成でき、密着力を大きく向上
・めっき被膜による機能性付与が可能
・めっき膜の付与により 重量増・厚み増加
・コストが高い
・薬液管理や廃液処理が必要で環境負荷が大きい
・タブリード接合時にめっき層不要の場合あり
レーザー粗化 ・表面凹凸を高精度に制御可能
・ドライプロセスのため薬液不要、クリーンで環境負荷が低い
・局所加工が可能(パターン形成など応用範囲が広い)
・設備投資が非常に大きい
・大面積での高速処理(高スループット)が困難
・熱の影響による変質・変色の可能性がある
化学エッチング ・めっき膜を付けないため軽量で、異種金属による電池内反応リスクが低い
・凹凸形状を化学的に形成するため、大面積に対応可能
・銅やアルミは化学エッチングにより粗化処理が可能だが、ステンレスでは困難
・エッチングの制御が困難、過エッチングの恐れ
・粗さのバラツキが発生しやすい
・廃液処理・薬液管理の環境負荷が大きい
ウェットブラスト ・均一な微細粗化が可能(面全体の均一性に優れる)
・薬液を使わず環境負荷が小さい
・ランニングコストが比較的安価で、大面積処理にも対応
・膜付与や化学腐食が無く、重量・厚みを変えずに粗化可能
・物理工法のため、被加工材の耐食性に関係なく粗化可能
メディア(投射材)の残渣について懸念がある
・導入時にはエアコンプレッサの増設が必要


2.ウェットブラストによる密着力向上(90度剥離試験結果)

ウェットブラストでステンレス箔を粗化したサンプルを用い、機能性層との90度剥離試験を実施したところ、以下の結果が得られました。

・平均剥離強度:23%向上
・最大剥離強度:44%向上

これは、均一で微細なアンカー効果が形成され、電極材料との密着性が向上したと考えられます。
さらなる剝離強度向上を目指した粗化工法については、鋭意開発中となります。


 


3.ウェットブラストを全固体電池用SUS箔粗化に提案する理由

  • 薄さを維持しながら粗化が可能(厚み増加が一切なし
  • 異種金属を付与しないため、固体電解質との異常反応リスクが最小
  • 薬液不要で環境負荷が小さい(量産時のESG対応などに適合)
  • 均一処理に優れるため、電極塗工の均一性・歩留まり向上に寄与
  • 量産対応として、ロール・to・ロール型ウェットブラスト装置「PFE 300T/N,600N」が提案可能

以上の点から、ウェットブラストには他の工法にはない優位性があります。


4.関連事例と適用装置

【関連事例】
  樹脂フィルム【導入実績:樹脂フィルムの表面改質
                        
【適用装置】
  半導体パッケージバリ取り専用ウェットブラスト装置「PFE 300T/N,600N」



5.まとめ

全固体電池において重要となる電極層とステンレス箔の密着性向上に対し、従来の粗化めっきは重量・厚み増加やコスト、環境負荷といった課題を抱えています。ウェットブラストは、薄さ・重量を変えることなく均一な微細粗化を実現し、90度剥離試験では平均23%、最大44%の密着力向上を確認しました。異種金属を付与せず、薬液も不要なため、ESGや量産対応の観点からも有効な工法です。

私どもは、全固体電池用ステンレス箔の新たな粗化技術として、ウェットブラストによる高機能表面処理を提案いたします。


 
 

また、ウェットブラストの原理やシステムについての資料は、以下のリンクよりダウンロードが可能です。



著者情報

グローバルマーケティング部 佐田 俊彦