サンドブラストとの違い
ウェットブラストと、サンドブラスト(乾式ブラスト、ドライブラスト)は、「粒子状の無数の研磨材を投射し、対象の表面を加工する」という点で、とても近い工法です。しかし、扱える研磨材のサイズ、残留、加工精度などの点で大きく異なります。
ウェットブラストとサンドブラストの違い
ウェットブラストは、水を用いるために洗浄度が高く、微小な研磨材を扱えるため、高い精度で均一な処理が行えます。しかし加工力は比較的弱く、厚い塗装の剥離などには時間がかかります。また、機構がサンドブラストよりも複雑なため、装置価格が比較的高めになります。
一方サンドブラストは、水を用いず、圧縮空気で研磨材のみを投射します。比較的大きい研磨材を扱うため、加工力が高いことが特長です。しかし、投射される研磨材が舞い散る「粉塵」の発生や、均一な処理が苦手であるといった点でウェットブラストと異なります。また、脱脂効果がないため、前処理として脱脂や乾燥工程が必要となります。
ウェットブラストとサンドブラストの比較
扱える研磨材サイズ
一般的に、サンドブラストで扱える研磨材サイズの下限は50μm程度です。
対してウェットブラストでは、極めて小さな数μmの研磨材を扱えます。
研磨材の残留
サンドブラストでは、研磨材が研磨材を打ち込む現象が発生し、埋め込み残留が発生します。ウェットブラストでは、加工後の研磨材を質量を持った水が洗い流すため、残留はごく僅かです。
加工精度
圧力調整が容易で、高い精度の処理も行えるサンドブラストですが、コントロール性はウェットブラストに劣ります。ウェットブラストは、流体制御であること、微細な研磨材が使用できるなどの理由により、より精度の高い、緻密で均一な加工を得意とします。
脱脂効果
サンドブラストには脱脂効果はありません。そのため、前処理として脱脂工程が必要になります。ウェットブラストは、油ごと薄皮一枚表面を削り取るため、加工と同時に脱脂が可能です。さらに、削られた表面を瞬時に水膜が覆うため、油の再付着もありません。
加工熱
サンドブラストでは、研磨材と対象物の摩擦によって加工熱が発生します。ウェットブラストでは、処理中は水が対象物表面を常に冷却するため、対象物は熱を持ちません。
静電気
サンドブラストでは、摩擦によって静電気が発生します。そのため、別途静電気対策が必要となります。ウェットブラストでは、電気が水の中に逃げるため、対象物は静電気を帯びません。
二次汚染
サンドブラストでは、汚れた研磨材が対象物に衝突することで、処理対象物に二次汚染が起こる可能性があります。ウェットブラストでは、加工後の新生面を水膜が覆い、汚れた物の再付着を防ぐため、これが発生しません。
二次的な処理
サンドブラストでは行えませんが、ウェットブラストでは、スラリー中に防錆剤、脱脂剤などの薬品を混入し、二次的な処理が可能です。
作業安全性
サンドブラストでは、研磨材の飛散による粉塵が発生するため、集塵機などの設備が必要となります。また粉塵は、発火や爆発の危険もあります。ウェットブラストでは粉塵は発生しません。