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ウェットブラストの進化の物語 第2話

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ウェットブラストの進化の物語 第2話

著:代表取締役/松原幸人

ウェットブラストの進化

前回お話ししましたように、ウェットブラストの誕生は100年程前。
エンジンのオーバーホール用として価値を上げ、市場に貢献しはじめていました。
しかし、普及拡大を妨げる問題がひとつあったのです。それは、コストの高さでした。

水と研磨材(メデイア)を混合させたウェットブラストのシステムは、サンドブラストの様に耐摩耗性を確保しているだけでなく、耐水性も兼ね備える必要がありました。必然的に、装置コストはサンドブラストよりも高くならざるを得なかったのです。そのためウェットブラストは、エンジンなどの高付加価値品への適応にとどまり、用途も限定されました。

サンドブラストの弱点を克服し、画期的な洗浄方法として誕生したウェットブラストでしたが、このように、サンドブラストなどに代わってすぐに市場を制圧できる工法に育つことは無く、装置ラインナップも手動機、あるいはそのオプションのみにとどまり、目を見張る進化のチャンスはしばらくのあいだ訪れなかったのです。

その約55年後。
今から45年程前、ウェットブラスト技術が日本に持ちこまれました。
海外ブランドの工具を輸入していた商社(C社)が、工具や金型のメンテナンス用にイギリスから手動機を取り寄せ、日本国内に拡販しはじめたのです。

当初は、教科書通りメンテンナンス用として販売されていました。
しかしある時、新規市場開拓を目的に、畑違いであった自動車部品メーカーにこの技術が売り込まれます。
そしてこれが結果として、ウェットブラスト進化の化学変化のきっかけとなりました。
それまでウェットブラストを見たことも聞いたこともない、「ある問題」を抱えた変わり者が、この処理技術に興味を抱いたのです。

ウェットブラストの進化

その変わり者は、某防振ゴムメーカーの担当者でした。
彼は「ウェットブラストが防振ゴム金具の洗浄に使えるかもしれない」と思いつきます。

彼のひらめきには、当時の時代背景が大きく関係していました。環境問題、中でも「地球温暖化」に関する問題です。

1970年代。主たる原因を有機溶剤によるオゾン層の破壊とする「地球温暖化」がクローズアップされはじめました。
そして、有機溶剤使用規制の機運が巷に高まります。

当時の防振ゴム金具洗浄も、この時代の趨勢と無縁ではいられませんでした。金具洗浄に、脱脂力が非常に強く、揮発性のある有機溶剤「トリエタン」や「トリクレン」を大量に用いていたからです。
これは当時、広くクリーニング剤として使われていましたが、発がん性も確認されたことにより、これに代わる手段の検討が急務となりました。
水系洗浄の「アルカリ洗浄」が候補としてあがりましたが、有機溶剤に比べ脱脂性能が劣るために品質不良の原因となり、さらなる別の洗浄方法を模索せざる得なくなっていました。

ウェットブラストの進化

そしてそんな中、防振ゴム業界が巡り合ったのがウェットブラストでした。
酸化物や有機物を最表面ごと剥ぎ取ってしまうウェットブラストの効果は、脱脂性能を得るには充分に有効でした。
有機溶剤以上の表面活性を得ることが可能だったのです。

ウェットブラストを、金具洗浄の新たな手段として得た防振ゴムメーカー各社は、さらなる品質の向上を目指しました。
寒冷地域の塩害対策のための防錆効果と、ゴムとの密着安定の為に化成被膜を試みます。
そしてこの被膜形成のために、新しい工法が生み出されました。
脱脂工程のウェットブラストと被膜生成工程の化成のウェットプロセスをドッキングした、ウェットブラスト・リン酸化成処理装置「WBP」です。
このWBPの誕生は、新工法であることもさることながら、手動機レベルのウェットブラストが、自動車産業が求める品質と生産性を併せ持った「完全自動装置」に生まれ変わった瞬間でもありました。

こうして様々な要因と巡りあわせを経て、処理品質において圧倒的に差別化できる「ウェットブラスト」の進化がはじまったのです。 

・・・

さて、第2話「ウェットブラストの進化」、最後までお読みいただきありがとうございました。

第3話は「マコーとの出会い、チャレンジ」です。
自動車メーカーも無ければ防振ゴムメーカーも無い新潟県で、なぜマコーは防振ゴム用ウェットブラスト装置を作り始めたのか?その経緯をお話しさせてください。