ウェットブラストの進化の物語 第6話
著:代表取締役/松原幸人
ステンレス研磨材
前回第6話「ゼロエミッション」の後編です。
マコーがたどり着いた「廃棄物ゼロへ」に対する答えが、今回のテーマである「ステンレス研磨材」でした。
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ゼロエミッションを達成する為には、まず、リサイクル可能な研磨材でなくてはならない。
私たちはそう考えました。
加えて、たやすく粉砕せず寿命が長いことも、廃棄物を削減できる重要な要素です。
そして、アルミナに匹敵するスケール除去能力。
私たちには、これらをクリアする新しい研磨材が必要でした。
「金属を加工するなら金属で」
唐突に浮かんだその考えから、結果、この課題の結論となる「ステンレス研磨材」へと私たちはたどり着きます。
きっかけは、少し前にいただいた、あるメーカーからの売込みです。
それは、特殊な製法で粒状化させたステンレス研磨材でした。
その研磨材は、ステンレスの廃材を原料とするリサイクル品です。
焼入れで飛躍的に硬化させており、かつ、高い靭性という特長を併せ持っていました。
つまり、「錆びず」に「高寿命」。
この二つのポイントで、課題解決に向けた2つの必須要素が一気にクリアできる機運が高まりました。
そのメーカーは「ショットメーカーへ紹介しているが、価格差以上の寿命が得られないため苦労している」とのことでしたが、私たちにとっては運命すら感じる、まさに僥倖の瞬間でした。
早速取り寄せて試験を実施すると、これが想定以上の性能。
スケール除去能力に関してもアルミナと遜色なく、マコーのウェットブラストのために開発されたと勘違いするほど、理想の研磨材でした。
そして、課題であった「ゼロエミッション」目標値は達成され、酸化スケール除去の新しいノウハウのひとつとして、この「ステンレス研磨材」を用いた工程構築が、マコーのウェットブラスト技術のラインナップに加わることになったのです。
第6話「ステンレス研磨材」、最後までお読みいただきありがとうございました。
第7話のテーマは、鍛造におけるさらなるトライ、「脱ボンデ」です。
ウェットブラスト進化の物語 第7話「脱ボンデ」はこちらから
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