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コラム

ウェットブラストの進化の物語 第7話

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ウェットブラストの進化の物語 第7話

著:代表取締役/松原幸人

脱ボンデ

ウェットブラストによるスケール除去・インライン化の可能性が見えた後、マコーはこの「鍛造前処理」に関連した、さらに大きなテーマに気づきます。
それは「脱ボンデ」です。

ボンデ処理は、一般的に冷間鍛造において行われています。
型の焼き付きを防ぐために潤滑性を高めることが目的で、リン酸塩被膜と金属石鹸によって施されます。
冷間鍛造は、熱間鍛造に比べてコストが低く、かつ、精度の高い加工ができることが特長の鍛造方法です。
小型で単純な形状に有効で、自動車の構成部品にも数多く採用されており、熱間鍛造のスケール除去に関わったマコーとしても関心の高い分野でした。

さてこのボンデ処理、軽加工から強加工まで可能な上に防錆能力も付与できる、万能被膜と言っても良い極めて優秀な処理で、開発から20年来変わらない、冷間鍛造におけるスタンダードと言えます。
しかし同時に、大きな問題を抱える処理でもありました。

そのひとつが「環境問題」です。
薬品の反応性による処理であるゆえ、その廃液やスラッジは大量の産業廃棄物となります。さらに、設備自体が大型なためエネルギーコストも高価です。
またその他にも、リードタイムやコストの面で問題がありました。
ボンデ処理は前後工程とのインライン化ができないため、工程中に仕掛在庫が発生します。また、そのために随時運送せねばならず、そのコストは決して小さくありません。

上記の問題から脱ボンデが切望され、大学や業界は潤滑剤のみでの鍛造にトライしていました。
しかし、ボンデに替わる品質は得られません。

ボンデに替わる環境対応型潤滑剤、通称「一液潤滑剤」を用いたトライでしたが、水系である一液潤滑剤は被加工材に密着せず、すぐに剥離を起こしてしまうためです。
その大きな原因は、潤滑剤塗布前の下地処理にありました。

そこでマコーは、この「塗布前の下地処理」にウェットブラストを提案します。
ウェットブラストの最大の特長は、極めて微細な研磨材が使用できること。
つまり、極めて微細な凹凸の生成が可能で、これが潤滑剤の保持性に有効と踏んだのです。

このマコーの考えは功を奏します。
ウェットブラストによる均一な微細凹凸は、潤滑剤の保持に最適でした。
また、表面層を微量に削り取ることが濡れ性の確保にも貢献し、結果、一液潤滑剤の保持性と密着性を飛躍的に向上させることに成功します。

その後の研究・開発を経て、ボンデ処理では不可能だったインライン化と、ネットシェイプ(成形後、加工不要でそのまま完成品となること)に不可欠な打痕レスも達成。
マコーが冷間鍛造における次のテーマにとりあげた「脱ボンデ」は、ウェットブラストと一液潤滑剤を用いた潤滑処理「WLS(ウェットブラスト・ルブリカント・システム)」という新工法として実を結ぶことになります。

ウェットブラストの進化

第7話「脱ボンデ」、最後までお読みいただきありがとうございました。

第8話は7話のテーマと似て非なる、もうひとつのウェットブラストによるエコフレンドリー、「脱酸洗」です。