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第3回 接着剤の種類、特徴、使用上の注意点(前編)

第3回 接着剤の種類、特徴、使用上の注意点(前編)

第3回は、接着剤の種類、特徴、使用上の注意点について2回に分けて説明します。

1. 接着剤の種類

接着剤の種類は、非常に広範囲にわたっています。接着剤メーカーは、大手化学メーカーから中小のブレンドメーカーまできわめて多く、カタログに載っている品種だけでも無数にあります。さらに、各接着剤メーカーは顧客のニーズに合わせて作業性や特性を調整・改良するため、接着剤の種類は昆虫の種類に匹敵するほどです。
実際に接着剤を選定していく場合は、成分、形態、固化・接着方法、機能、特性などを考えることが必要です。以下に、これらの面からの分類を示します。

こちらのページにて、接着強度向上に関する様々な資料がご覧いただけます

※「ウェットブラスト技報」等にて該当資料ご覧ください

2. 接着剤の分類

2-1.成分による分類

表1)に接着剤の成分による分類を示しました。
接着剤には有機材料系、無機材料系があり、有機材料系においては広範囲の樹脂材料が接着剤として使用されていることがわかります。実際の接着剤では、一種類の成分だけでなく、接着特性を向上させるために二種類以上の成分が組み合わせている場合も多くあります。

接着剤の成分による分類

こちらのページにて、難接着樹脂材料の接着強度向上に関する事例をご覧いただけます

2-2.形態による分類

表2)に、接着剤の形態による分類を示しました。
固形のものは、粘着テープ類や熱で溶融して接着するホットメルト系が大半ですが、エポキシ系接着剤には粉末状や、ハニカムサンドイッチパネルの製造や航空機部品の組立に使用されるようなフィルム状のものもあります。

接着の形態による分類

2-3.固化・接着方法による分類

表3)に、接着剤の固化・接着方法による分類を示しました。 化学反応型には多くの反応形態があり、反応形態により接着の作業方法は大きく異なります。また、接着の作業性を改善するために、二種類以上の反応形態を持つ併用反応型も沢山あります。ホットメルト・湿気硬化併用型の反応性ホットメルト系接着剤は、熱溶融と冷却固化により接着し、その後空気中の水分と反応して高強度になるものです。粘着・紫外線硬化併用型のダイシング用テープは、粘着によりウエハを固定してダイシングを行なった後に、紫外線を照射することで粘着材が硬化して樹脂状となり、切断したチップを容易にはく離できるようにしたものです。

接着剤の固化・接着方法による分類

2-4.機能による分類

接着剤に要求される機能は、きわめて多種多様で、接着特性面や接着作業性の面で種々の機能を有する接着剤があります。表4)に、接着剤に要求される代表的な機能による分類を示しました。

接着剤の機能による分類

2-5.強度や硬さによる分類

上記の分類の他に、構造用接着剤、準構造用接着剤、エンジニアリング接着剤、柔軟接着剤など、接着強度や接着剤の硬さで分類されることもあります。
「構造用接着剤」は、JIS K6800「接着剤・接着用語」では、「長期間大きな荷重に耐える信頼できる接着剤」と定義されています。元々は、航空機の部品組立に用いられる接着剤が対象でしたが、現在は多様な用途で使われる高強度・高耐久性接着剤の総称となっています。「準構造用接着剤」は明確な定義はされていませんが、要求を満たす十分な強度と機能、耐久性を有している接着剤と考えればよいでしょう。代表的な構造用接着剤、準構造用接着剤としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤(SGA)、ウレタン系接着剤などがあり、耐熱性が要求されるブレーキシューの接着などではフェノール系接着剤も使われています。  
「エンジニアリング接着剤」には明確な定義は有りませんが、筆者は「接着の硬化機構、作業性、機能・特性などに特異な特徴を持ち、広範な工業製品の組立に用いられる接着剤」と考えています。嫌気性接着剤、光硬化型接着剤、瞬間接着剤(シアノアクリレート系接着剤)などがあります。
ゴム状などの柔軟な接着剤や粘着テープは、内部応力が生じにくいという大きな特徴があります。「柔軟接着剤」の代表的なものとして、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤(弾性接着剤)、粘着テープ(感圧接着テープ)などがあります。

3. 各種接着剤の特性

表5)に、各種の接着剤の特性の比較を示しました。表中のランクはあくまでも一般的な目安であり、それぞれの種類の接着剤にも種々の改良品があります。

各種接着剤の特性

次回は、接着剤の種類、特徴、使用上の注意点(後編)について説明します。

参考文献

  • ^ 原賀康介:「ものづくりのための接合・複合技術の基礎 9)接着―各種接着剤の分類と特性」,塑性と加工,V0l.48, No.561, P.907-910 (2007).
  • ^ 原賀康介著「高信頼性を引き出す接着設計技術」,日刊工業新聞社刊,P.237-249,(2013).
  • ^ 原賀康介著「分かる!使える!接着入門」,日刊工業新聞社刊,P.64-69,P.90-103,(2018).

著者紹介

原賀康介 - (株)原賀接着技術コンサルタント

原賀康介 - (株)原賀接着技術コンサルタント

昭和48年(1973年)京都大学工学部工業化学科卒業、
同年 三菱電機(株) 入社、生産技術研究所、材料研究所、先端技術総合研究所に勤務
2007年より電気化学工業(株)に兼務出向
2012年3月三菱電機(株)および電気化学工業(株)を退任
2012年3月株式会社 原賀接着技術コンサルタントを設立し、各種企業における接着課題の解決へのアドバイスや社員教育などを行っている
1989年~1998年 自動車技術会 自動車構造接着技術特設委員会、構造接着技術特設委員会、構造形成プロセス専門委員会委員として、自動車の車体軽量化のための接着技術開発を実施

入社以来44年間にわたって一貫して接着接合技術の研究・開発に従事。
特に、構造接着技術と接着信頼性保証技術の開発に注力。

原賀康介略歴 - (株)原賀接着技術コンサルタント 公式ページ

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